2023年度研究例会
「被害と加害のむこうがわ――生(ライフ)の現場と社会学理論(3)」
今期研究活動委員会では、「生(ライフ)の現場と社会学理論」を2 年間の共通テーマとして立てました。現実に人びとが生きている場、他の人や事物とかかわり、ときに苦しみ、ときに葛藤しながら、それでもともに生きていくというありように、社会学理論はどうアプローチできるのか。具体的な生(ライフ)の現場を取り上げながら、それに対して社会学理論に何ができるのか、あるいは社会学理論は何を問いかけられているのかを考えていきたいと思っています。
3回目となる3 月の定例研究会では、「加害と被害のむこうがわ」と題して、加害者と被害者という分け方が必要な局面があることを前提とした上で、その先に問われることについて考えたいと思います。具体的には、水俣病のことにこだわってこられた研究者お二人にご登壇いただきます。お二人は、被害と加害と呼ぶべきものがそこにあることは踏まえた上で、それでもそれぞれの観点から、加害と被害という図式で割り切れないものにアプローチしてこられました。その模索の過程やその中で見えたことなどについてお話しいただきます。その上でフロアの皆さんとともに、加害と被害の先に問われることについて一緒に考えられればと思っています。
日時:2024年3月9日(土)13:30~16:30(オンライン開催)
報告者:
野澤淳史(東京経済大学)「〈被害と障害〉をめぐるアポリアと加害責任―環境社会学と障害学の交差点から水俣病を考える―」
下田健太郎(熊本大学)「その声は誰に向けられているか――水俣から歴史実践を考える」
討論者:宮本真也(明治大学)、藤村正之(上智大学)
司会者:三井さよ(法政大学)、井腰圭介(帝京科学大学)
報告者プロフィール:
野澤淳史(のざわ・あつし)
東京経済大学現代法学部専任講師。専門は環境社会学と障害学。主な研究課題は水俣病問題と気候変動問題。水俣病に関する業績は『胎児性水俣病患者たちはどう生きていくか―〈被害と障害〉〈補償と福祉〉の間を問う〉』(世織書房、2020)、「水俣病にとっての65歳問題―『先天性(胎児性)という問い』から」(『講座環境社会学1 なぜ公害は続くのか』新泉社、2023所収)、「被害補償と介護保険の交差点―胎児性水俣病患者(も)が高齢化した時代における加害者の責任―(仮)」(『環境と公害』53巻4号、2024年4月発行予定)。
下田健太郎(しもだ・けんたろう)
熊本大学大学院人文社会科学研究部教員。専門は文化人類学。著書に『水俣の記憶を紡ぐ――響き合うモノと語りの歴史人類学』(単著、慶應義塾大学出版会、2017年)、『サバイバーの社会学――喪のある景色を読み解く』(共著、ミネルヴァ書房、2021年)、訳書にエリザベス・フーバー『川は私たちの中に――先住民モホークの環境汚染との闘い』(共訳、花伝社、2023年)など。
※研究例会は参加無料です。当学会の会員でない方もご参加いただけます。
※当日の資料は配布いたしません。あらかじめご了承ください。
※研究例会への参加を希望される方は3月3日(日)までに下記のリンク先のGoogleフォームにて必要事項を記入し、送信してください。前日までにオンライン参加に必要な情報をお知らせします。
問い合わせ先:
日本社会学理論学会事務局
Email: sst[@]sst-j.com([ ]を削除してください)