2021年度 研究例会「政治的公共圏の現在」
【日時】2022年3月27日(日)14:00~17:00
【方法】Zoom(オンライン)
【主旨説明】
現在、研究委員会では、今期の共通テーマとして「排除/分断と社会統合の可能性」を掲げておりますが、2022年3月の研究例会、9月の大会でのシンポジウムに向けて、公共圏における分断と闘争、そして統合に焦点をあてて、企画を考えております。私たちの生きる社会に教育、資本、地位などをめぐって格差や分断があることはよく議論されており、社会学、あるいは社会科学はそれらへの反応として社会運動、市民運動、制度化されている政治参加や克服に向けての実践的試みを明らかにしてきました。社会的な公正さなどの規範的な理念の侵害や不履行が、一方でそうした異議申し立てや抵抗の動機付けとなっていることは明らかですが、他方で暴力的、場合によっては合法的とは言えない行動のきっかけともなっています。そして、私たちが現代において目にするポピュリズム、排外主義、権威主義といった政治的傾向にもまた、規範が約束する公正な状態の実現状況へのそれぞれの反応を見いだすことができるかもしれません。
こうした観点から、今回の研究例会では私たちの社会の公共圏における傾向を、公共哲学、政治社会学、社会意識論といった分野から、その問題性や理論化の可能性について再考してみたいと考えております。みなさんの積極的な参加を期待いたします。
【報告】
1. 権安理(立教大学):
「公共的なるものの再考――アーレントと現代的状況」(仮)
2. 松谷満(中京大学):
「この10年の社会意識の変化――二度の政権交代、大震災、そしてコロナ禍」(仮)
3. 堀内進之介(東京都立大学、Screenless Media Lab.など):
「政治的スタイルとしてのポピュリズム――感情動員論の観点から」(仮)
【討論者】数土直紀(一橋大学)
【司会】宮本真也(明治大学)
【報告者プロフィール】
◇ 権安理(ごん・あんり) 立教大学コミュニティ福祉学部教員。専門は公共哲学、公共空間論。主な研究業績として、「リノベーション研究序説――ハンナ・アーレントから考えるリノベーションの意味」『立教大学コミュニティ福祉研究所紀要』(第8号、2020年)、『公共的なるもの─アーレントと戦後日本』(作品社、2018年)ほか。
◇ 松谷満(まつたに・みつる) 中京大学教員。専門は政治社会学、社会意識論。主な研究業績として、「若者はSNSの夢を見るのか─―『運動を知らない』世代の運動参加」『3・11後の社会運動――8万人のデータから分かったこと』(樋口直人と共編、筑摩書房、2020年)、「若者――「右傾化」の内実はどのようなものか」『日本人は右傾化したのか――データ分析で実像を読み解く』(勁草書房、2019年)など。
◇ 堀内進之介(ほりうち・しんのすけ) 東京都立大学客員研究員、Screenless Media Lab.所長ほか。専門は政治社会学、応用倫理学。主な研究業績として、「愛情のサイケデリックな未来——―愛のエンハンスメントの必要性と可能性」『人文学報』(517-1号、2021年)、『知と情意の政治学』(教育評論社)、2016年)、『感情で釣られる人々——―なぜ理性は負け続けるのか』(集英社新書、2016年)など。
【討論者プロフィール】
◇ 数土直紀(すど・なおき) 一橋大学大学院教員。専門は数理社会学、階級意識論。主な研究業績として『少子高齢社会の階層構造3 人生後期の階層構造』(有田伸、白波瀬佐和子と共編、東京大学出版会, 2021年)、Social Change in Japan, 1989-2019: Social Status, Social Consciousness, Attitudes and Values (Carola Hommerich、吉川徹と共編、Routledge, London, 2021)など。
※研究例会は参加無料です。当学会の会員でない方もご参加いただけます。
※研究例会への参加を希望される方は3月21日(月)までに下記のリンク先のGoogleフォームにて必要事項を記入し、送信してください。前日までにオンライン参加に必要な情報をお知らせします。
Googleフォーム: https://forms.gle/p9bjwERQtxZAMUai7
問い合わせ先:
日本社会学理論学会事務局
Email: sst@sst-j.com