日本社会学理論学会第17回大会プログラム
日程:2022年9月3日(土)・4日(日)
名古屋学院大学開催担当
9月3日(土)
11:00~ 新旧合同理事会
13:00~15:00(打ち合わせ開始:12:45)
一般報告1
司会: 魁生 由実子(愛媛大学)
濱西 栄司(ノートルダム清心女子大学)
「運動行為論の構築:記述・説明・解釈」
伊藤 智樹(富山大学)
「J. Rappaportの”community narrative”概念の受容および批判的論点に関する整理と検討」
千歩 弥生(中央大学大学院)
「複層的な社会関係のなかを生きるハンセン病者の実践——アイデンティフィケーションのプロセスに着目して」
馬渡 玲欧(名古屋市立大学)
「「惑星鉱山」の採掘——採取-採掘ロジスティクスに離島地域はいかに組み込まれるのか」
13:00~15:00(打ち合わせ開始:12:45)
一般報告2
司会: 奥村 隆(関西学院大学)
徳久 美生子(武蔵大学)
「G.H.ミードの戦争・平和論再考」
清家 久美(立命館アジア太平洋大学)
「〈接触説/媒介説〉の視点による新実在論の主張の解明」
津田 翔太郎(神戸大学)
「「生きられた感情」を帯同する自己/他者関係を把捉するための理論構築に向けて」
15:15~17:15(打ち合わせ開始:15:00)
一般報告3
司会: 小山 裕(東洋大学)
佐藤 裕(富山大学)
「問いの社会性——問いの社会学のための基礎理論」
山本 千寛(東京大学)
「日常生活批判の表象論的転回?——アンリ・ルフェーヴルと「表象」概念」
坂井 晃介(東京大学)
「機能分化論からみた社会学理論の役割にかんする一考察」
稲葉 年計(東京都立大学大学院)
「アクセル・ホネットとテオドール・W・アドルノ」
15:15~17:15(打ち合わせ開始:15:00)
テーマセッション
「社会学理論のデジタルトランスフォーメーション」
司会 赤堀 三郎(コーディネータ・東京女子大学)・河合 恭平(大正大学)
藤田 哲司(無所属)
「デジタル化時代の「リアル・ユートピア」・Wikipedia社会の特徴について」
赤堀 三郎(東京女子大学)
「社会学理論のデジタル化は可能か、あるいは蓋然的か——社会的世界の理解深化のために」
堀内 進之介(東京都立大学)
「民主政論に対するニューロポリティクスのインパクト」
高艸 賢(日本学術振興会/慶應義塾大学)
「物質論的現象学(materialist phenomenology)の可能性——メディアの浸透と社会学理論の変容」
9月4日(日)
10:00~12:15(打ち合わせ開始:9:40)
修論フォーラム
司会:浅野 智彦(東京学芸大学)
張 唯(筑波大学大学院)
「日本社会における「中国帰国者」の語られ方に関する社会学的考察——朝日新聞(1972〜2020年)の報道に着目して——」
コメンテイター:松浦 雄介(熊本大学大学院)
松崎 匠(東京大学大学院)
「アクセル・ホネット承認論の生成——『承認をめぐる闘争』における人倫の概念を中心として」
コメンテイター:宮本 真也(明治大学)
石 婉莹(筑波大学大学院)
「姦通・不倫小説ブームから見る日本型ロマンティック・ラブ・イデオロギー」
コメンテイター:江原 由美子(東京都立大学名誉教授)
10:00~12:00(打ち合わせ開始:9:45)
一般報告4
司会:鳥越 信吾(十文字学園女子大学)
梅村 麦生(神戸大学)
「見田 宗介(真木悠介)『時間の比較社会学』の問われざる「地」——「時間の社会学」史の観点から——」
田中 裕(東京福祉大学)
「異なる2つの空間化概念についての検討」
武内 保(早稲田大学大学院)
「アルヴァックス記憶理論における「思い出す」ことについて」
末田 隼大(慶應義塾大学大学院)
「バーバラ・アダムの時間論——複数的時間の展開に注目して」
13:00~13:50 総会
14:00~17:00 シンポジウム「公共圏の可能性と限界」
(打ち合わせ開始:13:40)
司会:宮本 真也(明治大学)
第一報告:鈴木 宗徳(法政大学)
「直接行動を考えることによって公共性論を鍛えなおす」
第二報告:出口 剛司(東京大学大学院)
「政治的公共圏の時間論的危機」
討論者:山本 圭(立命館大学)
討論者:伊藤 美登里(大妻女子大学)
*参加費・参加登録
会 員…参加費無料
非会員…参加費1000円
会員・非会員とも、参加者には事前に参加登録を行っていただきます。参加登録の手順の詳細は、改めて会員一斉メール・学会ホームページで告知します。
*大会特設ページへのアクセス
本大会は、全参加者がZoomにより各自の研究室・自宅などから参加する方式をとる予定です。参加登録をされた方だけが、大会特設ページにログインすることができ、Zoomによる各部会に出入り自由で参加し、報告資料がアップロードされたオンラインストレージにアクセスすることができます。大会特設ページへのアクセス情報は、参加登録後にお知らせします。なお、この情報を他の方に伝えることは、拡散して「あらし」などが起きることを防ぐために、決してなさらないでください。
*報告上の注意
報告は、Zoomの「画面共有」機能を用いて資料を映し出し、リアルタイムで報告する方式を予定していますので、報告者はそのように報告をご準備ください。また、大会特設ページに報告者ごとのオンラインストレージのフォルダを置きますので、配布資料をそちらにアップすることもできます(配布資料をアップせず、「画面共有」だけで報告することも可能です)。このマニュアルは、出来上がり次第、報告者・コメンテーターにお知らせします。
なお、オンライン開催の学会報告資料での著作権の扱いにはご注意ください。以下のサイトなどに情報がありますので、ご参照ください。
「オンライン授業・オンライン学会における著作物の利用について」https://redbuller.hatenablog.com/entry/2020/04/18/015830
2022年日本社会学理論学会第17回大会シンポジウム企画
「公共圏の可能性と限界」
これまで今期の研究委員会では、一貫したテーマとして「排除/分断と社会統合の可能性」を掲げ、「排除と分断をめぐる社会学」(2020年度研究例会)、「差別と排除に抗いつつ、社会学理論を構想すること」(2021年度大会シンポジウム)、「政治的公共圏の現在」(2022年度研究例会)といったテーマに取り組んできた
私たちは「排除と分断」について考えるうえで、まず「病い・障害」「優生思想」「ヘイトスピーチ」を取り上げ、この二五年間のあいだでの問題状況について確認し、その言説における連続性と非連続性について社会学がどのようにとらえるべきかについて議論を行った。次に「ジェンダー/セクシュアリティ」と「人種/民族/エスニシティ」をめぐる差別と排除をめぐって社会学が、いかに、一方で差別と排除の側に立つ言説に対して、他方でそれらに批判的な言説に対して、自らの距離を取りながら研究者として社会内在的な立ち位置を決めてきたのかについて、当事者の声の部分を織り交ぜながら、社会理論が可能となるのかについての検証を行った。そして、私たちの現下の社会で社会問題が持ち込まれ、さまざまな立場から立場表明をされ、場合によっては支持を奪い合うようなかたちで世論形成を試みられることもある、多様な力の働く空間として公共圏についての再考を試み、私たちの社会の公共圏における傾向を、公共哲学、政治社会学、社会意識論といった分野から、その問題性や理論化の可能性についてアプローチを行った。
これらの過程を受けて本年度の大会シンポジウムでは、二年間の一応の締めくくりとして、公共圏への寄与ということについて、社会学理論からなにを語ることができるのか、なにができるかの検証を行いたい。ユルゲン・ハーバーマスの最初の著作である『公共性の構造転換』(1962)が世に出て、「公共圏(性)」が社会科学の言語として受容され始めて60年が経過したが、この社会空間を取りまく状況は、相変わらず問題含みである。かつての結論ですらペシミスティックなものであったが、その後の展開においても、公共圏は解放と同時に、差別と抑圧の言葉と力で満たされてきたと言える。現実社会において私たちの気がかりとなっている諸現象の背景には、これまで確認してきたように権威主義、排外主義、優生思想といった思考が作用し、「新自由主義」的な社会編成のなかでも差別と排除を生みだす原因となっている。もちろん、これらの要因の配置にしても、より詳細な分析が必要となるが、結果として私たちが直面している諸現象に対抗する理論的言語を、どのような政治学的、社会学的概念を頼りに紡ぎ出し、公共圏におけるアクターとして批判と克服のための貢献が可能なのかを、本シンポジウムでは考えてみたい。
司会者:宮本真也(明治大学)
報告者:鈴木宗徳(法政大学)
出口剛司(東京大学)
討論者:山本圭(立命館大学)
伊藤美登里(大妻女子大学)
・登壇者プロフィール
鈴木宗徳(すずき・むねのり)
法政大学社会学部教授。専門は理論社会学。主要な業績として「福祉ショービニズムとコンディショナリティ——イギリス連立政権期の政策と世論をめぐって」『大原社会問題研究所雑誌』(大原社会問題研究所、第733号、2019年)、「左派ポピュリズムと不服従の知 」『関東学院大学経済経営学会研究論集』(関東学院大学経済経営学会、第276号、2019年)、「イギリスの大衆メディアにおける貧困報道 : 連立政権下の福祉改革への影響を中心に」『大原社会問題研究所雑誌(特集:貧困と世論)』(大原社会問題研究所、第719号、2018年)ほか。
出口剛司(でぐち・たけし)
東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は理論社会学、社会学史。主要な業績として『加速する社会——近代における時間構造の変容』(ハルトムート・ローザ著、監訳、福村出版、2022年)、『社会の読解力〈文化編〉』(編著、新曜社、2022年)、『理性の病理——批判理論の歴史と現在』(アクセル・ホネット著、共訳、法政大学出版局、2019年)、『作田啓一vs.見田宗介』(共著、弘文堂、2016年)などがある。
山本圭(やまもと・けい)
立命館大学法学部准教授。専門は現代政治理論、民主主義論。主要な業績として、『現代民主主義——指導者論から熟議、ポピュリズムまで』(中公新書、2021年)、『アンタゴニズムス——ポピュリズム〈以後〉の民主主義』(共和国、 2020年)、『不審者のデモクラシ——ラクラウの政治思想』(岩波書店、2016年)「指導と民主主義——民主的リーダーシップをもとめて」『年報政治学』(日本政治学会、第71巻第2号、2020)などがある。
伊藤美登里(いとう・みどり)
大妻女子大学人間関係学部教授。専門は社会学理論。主要な業績として「文化摩擦への思想的対応に関する考察——ハーバーマス、ベック、ヨプケを事例として」『社会学年誌』(早稲田社会学会、第67巻、2022年)、「社会制度と移民の宗教的価値観との衝突に関する一考察」『人間生活文化研究』(大妻女子大学人間社会文化研究所、第32巻、2022年)、「なぜコスモポリタン化の語が造られねばならなかったのか−U.ベックのコスモポリタニズム論」『現代社会学理論研究』(日本社会学理論学会、第13号、2019年)、『ウルリッヒ・ベックの社会理論−リスク社会を生きるということ』(勁草書房、2017年)などがある。