大会・研究例会

第19回大会・テーマセッション報告者募集

 本年度に開催される日本社会学理論学会第19回大会(9月14日・15日)での「テーマセッション」のテーマを募集しておりましたが、2件応募があり、採択いたしました。以下のように報告者の募集を行います。

 

【大会日時・会場】

日時:2024年9月14日(土)、15日(日)

会場:東京大学本郷キャンパス・法文1号館・2号館(本学会第19回大会会場)
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map01_02.html

*プログラム等の詳細は 本学会ウェブサイト に随時掲載します。

 

【報告者資格】

・今大会のテーマセッションでは非会員の報告も可とします(大会参加費をお支払いただきます)。1部会は3~5報告によって構成されることとし、部会の報告者の半数以上が会員であることとします。

・なお、同一大会でテーマセッションと一般報告部会の両方で報告することはできません。

 

【報告申込と報告要旨】

 報告希望者は、報告概要(タイトル、400字程度の報告要旨)等をご準備の上、6月21日(金)までに下記フォームにてお申し込み下さい。

 

【申し込み先】

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd8v35RH92OM_qca8-2fywDRIoT4hsUg-o4a3Bskvve5CtyoA/viewform?usp=sf_link

※「一般報告」の申し込みフォームとは異なりますので、ご注意ください。

 

【採択について】

・応募した報告希望者についてコーディネーターが調整を行って、報告者・報告順を決定し、テーマセッション部会が設置されます。

・テーマセッションの報告者として応募した会員の方が、調整の結果不採択となった場合や、その部会が成立しなかった場合は、一般報告部会で報告することができます(非会員は一般報告部会に移動して報告することはできません)。

 

 昨年度より「日本社会学理論学会奨励賞(大会報告)」がスタートしました。原則として研究歴15年未満の「一般報告」「テーマセッション報告」の報告者が対象となります(複数の報告者の場合は全員が条件を満たす場合のみ)。該当する方は、フォームの該当箇所で、「博士前期課程または修士課程入学年」「研究歴(年数)」を記入してください(大学院を経ない会員は「研究歴(年数)」のみ)。該当しない方は記入しなくても構いません。

 

採択されたテーマセッションの詳細は以下のとおりです。

 

テーマセッション⑴
【テーマ】見田宗介=真木悠介『時間の比較社会学』再考

【コーディネーター】梅村麦生(神戸大学大学院人文学研究科)

【部会趣旨】
 見田宗介が真木悠介の名で1981年に刊行した『時間の比較社会学』は、日本語で書かれた時間の社会学的研究、つまり〈時間の社会学〉に関する論考のうち、今なお最もよく参照される研究の一つであり、この分野でいわば比類なき古典の位置を占めている。そして本書は、著者自身が後年「ニヒリズムからの解放」という自らの「原問題」に正面から取り組んだ「自分で納得のできる」「「社会学」の仕事」であり、「例外的に、多くの熱心な読者と遭遇するという幸福を得」たと回顧しているように、自他ともに認める見田=真木の代表的な社会学的著作の一つであった。
 このように『時間の比較社会学』は、刊行直後から社会学にとどまらず広く反響を呼び、さまざまな論者によって言及されてきた。それに対して近年では、とりわけ『定本見田宗介著作集』『定本真木悠介著作集』の刊行を大きな契機として、見田=真木による研究や著述活動の全体像を捉えようとする試みが重ねられている(参照:『現代思想』2016年1月臨時増刊号「総特集 見田宗介=真木悠介」;奥村隆編『作田啓一vs.見田宗介』弘文堂、2016;佐藤健二『真木悠介の誕生――人間解放の比較=歴史社会学』弘文堂、2020;『思想』2023年8月号「特集 見田宗介/真木悠介」)。そうした流れは、2022年4月の著者の死去を経てもなお続いており、本書に関しても見田=真木による著作群全体のなかに位置づけて再評価しようという試みが、複数おこなわれている。
 そこで本テーマセッションでは、近年のそうした研究の蓄積を踏まえて、あらためて『時間の比較社会学』の社会学的研究としての意義を検討したい。本書はもとより、時間論、ニヒリズム論、近代社会論、自我論、比較文明論等の多様なテーマを含み、参照される文献も、社会学、文化人類学、宗教学、文学、哲学、精神分析等々、きわめて多岐に及んでいる。数多く論じられてきた本書にあっても、なお汲み尽くされていない可能性と課題がありうる。多角的なアプローチからの応募を期待している。

 

テーマセッション⑵
【テーマ】グローバル/ポストコロニアル社会学の現在と可能性

【コーディネーター】磯直樹(東京藝術大学)

【部会趣旨】
 近年、英語圏における社会理論家や歴史社会学者、知識社会学者らが中心となり、「ポストコロニアル社会学」、「グローバル社会学」の重要性が指摘されている。そこで問われているのは「社会」の境界、国民国家の枠組みを超えた支配と暴力、より一般的には社会関係の問題である。
 イギリスではイギリス社会学会会長のガルミンダー・K・バンブラが、啓蒙理性としての社会学のヨーロッパ中心的な歴史の相対化を理論的かつ歴史的に試みている。バンブラらは、著名な社会学者の西洋中心主義を批判しつつ非ヨーロッパや旧植民地圏で同時代に展開した社会学者の実践に関心を寄せ、植民地との相互的経験から社会学を再構築していくことを求める(Bhambra, 2007; Bhambra and Holmwood, 2021)。それにより、ポストコロニアル/グローバルな社会学の展開による「国家」や「社会」といった対象領域や「比較」といった方法への反省を目指す。
 他方でアメリカでも、ジュリアン・ゴやジョージ・スタインメッツらの歴史社会学者が、「植民地なき」帝国としばしば名付けられる米国帝国主義や、イギリス・フランス・米国などによる事実上の植民地主義実践の歴史に関して、統治実践に加わった社会学者や社会理論を対象としながら研究を重ねている(Go, 2011; Steinmetz, 2023)。そこでは、ポストコロニアル研究がポストモダン的懐疑主義を理由として社会学において適切に受容されてこなかった点を指摘しつつ、その上でもなお、その成果と展望を社会学が批判的に吸収する必要を唱えている(Go, 2018)。
 本テーマセッションでは、日本では議論の蓄積が少ないこうした試みにスポットを当てつつ、日本語圏の社会学がいかにこれらを引き継ぐことが可能なのか、引き継ぐことにはいかなる意義があるのかについて議論したい。学説史的・社会理論的な反省としてのグローバル/ポストコロニアルな視座の意味と意義、歴史社会学的研究の理論的反省としての意義、(旧)植民地研究をはじめとした事例研究からみたグローバル/ポストコロニアル社会学の限界と可能性など、多様な論点からの報告を期待する。